tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

円レートの推移と企業収益の動向

2016年11月07日 21時05分07秒 | 経営
円レートの推移と企業収益の動向
 アメリカの大統領選挙も明日8日に迫りました。アメリカは半日遅れですから、日本時間では明後日にかけてですが、泥仕合の挙句に、FBIの良く解らない行動などがあって、最後までごたごたです。

 そのたびに円レートは動き、日経平均は下がったりまた上げたり、大方の見方はクリントン候補が勝つだろうという事に落ち着いたようですが、イギリスの国民投票の例もあり、何が起きるかわかりません。

 クリントン候補が当選したほうが、アメリカも、世界経済は安定するという意見が一般的ですが、トランプ候補が勝つと、強いアメリカでドル高になり、円安になって、日本株は上がるなどという解説があったりで選挙結果が出るまでは、まだ混乱でしょうか。

 確かにこのところの日本経済は、円レート次第といった様相が明らかです。今後の為替の推移はわからないにしても、いわゆる黒田バズーカ以来の円安と企業収益の関連について、見ておくのも役に立つかと思い、財務省の「法人企業統計年報」から収益関連の数字を拾ってみました。

 年度    円レート 営業利益率 経常利益率
2011年度    80円    2.8%   3.7%
2012年度    80円    2.9%   4.1%
2013年度    98円    4.1%   5.5%
2014年度   106円    4.2%   5.9%
2015年度   121円    4.3%   5.9%

 数字は「製造業・全規模」で、円レートのみ年平均(世界経済のネタ帳)です。利益率はともに「対売上高」の比率です。

 営業利益は売上高から製造原価(売上総原価)と管理販売費を引いた営業活動の利益で、経常利益は、それに受け取り金利・配当、為替差益などの金融関連の収益を加え、同じく金融関係の費用を差引いたものという事になります。

 ところで、2013年4月に黒田バズーカ1発目、2014年10月に2発目、これで円レートは80円から120円になりました。
 これは輸出の競争力強化、輸入品の値上がりなどで、特に製造業にはプラス効果が大きく、営業利益を3%弱から4%超に引き上げています。

 さらに顕著なのは金融関連の収益の向上による「経常利益」の改善で、こちらは3.7%から5.9%に、2ポイント以上改善しています。
 異次元金融緩和で、支払金利は減少、企業は収益が向上で増配、当然、受取配当は増え、さらに為替差益が入るといった効果でしょう。
 
 上の表では、円レートは同じ80円の2011年と2012年ですが、月別の動きを見ますと2013年の3月(12年度末)には、投機資本が先読みしたのか95円まで円安になっていますからその効果でしょう。

 こんな具合で、2015年までは景気も順調、株も高水準を謳歌したようですが、2016年になると、円レートは100円近くまで円高になってきます。今度は当然、逆の効果が出てくることになります。

 このブログでは、為替レート(円レート)の適切な水準での安定が経済の安定成長には必須、と繰り返し述べていますが、現実は、イギリスのEU離脱問題やアメリカの大統領選挙のドロ試合が為替レートを乱高下させるような「金融資本主義全盛」の世界経済です。
 日本経済の安定成長は容易ではないようです。

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